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TOPNEW INFO 最新のお知らせ > インプラントにおける自家骨移植

2012.08.13 : インプラントにおける自家骨移植

インプラントを骨に埋入するにあたって、骨が足りない場合にGBR(骨誘導再生療法)などの他に、患者さんご自身から骨を採取して移植する自家ブロック骨移植という方法があります。簡単にいうとGBRでは対応できない大きな骨喪失のケースに行われます。GBRにより10㎜の垂直的歯槽堤造成もできるという報告も散見されますが、創部が開いてしまったり、メンブレン(遮断膜)の感染や露出に伴う失敗例も多く報告されており、確実とはいえません。
そこで、自家骨移植は現在でも最もよい方法とされています。ただし、骨の採取の必要性、採取量の限界、採取部位の合併症、骨吸収、被覆軟組織(歯ぐき)の困難性などの問題があります。骨は口くうないから採取します。合併症が少ないため下顎枝部という部分から採るのが主流です。口くう内の骨を用いる理由は膜性骨で体の他の部分の骨より骨吸収が少なく、移植床とのなじみも良いためです。
水平的造成(幅)は比較的簡単ですが、垂直的造成(高さ)は5㎜以上になると歯ぐきの問題や骨吸収量から困難になります。
当院では自家骨移植は骨の欠損形態により、①トレフィンバーという器具で採った粉砕骨を使用②ボーンミル(骨を粉砕する器械)により砕いた骨を使用③自家ブロック骨移植かに使い分けます。内側性の欠損には粉砕骨を、外側性の欠損にはブロック骨を移植材料とします。
過去に行った自家骨移植の一症例です。

右上第一・第二小臼歯部の欠損に対し、インプラント治療を前提に過去に一度GBRが行われていましたが、補填材が流れてしまいインプラント埋入は困難と診断されました。

術前の模型より水平的に大きく骨が喪失しているのがわかります。

診断用ワックスアップにて必要な骨の量や歯の位置関係を予測します。

歯ぐきを切開・剥離した所見です。

骨を採取します。

採取した骨を移植床の形態に合わせて形成します。

ディコルチケーションして血液を促します。

スクリューで骨を移植床にしっかり固定します。

さらに骨補填材料を使用します。

減張切開を加え緊密に縫合します。

1年以上免荷期間をおき、インプラントを埋入する前の状態です。

歯ぐきを切開、剥離した時の所見です。移植床との接触面積が広いと骨癒合が早くなり、骨吸収も少なくなります。移植骨表面に血行が認められるのは1年前後ですが、見事に血行が認められています。

十分なスペースにインプラントが埋入されました。

上部構造物装着後のパノラマエックス線所見と口腔内所見

   骨移植前                                    骨移植後
自家骨移植はインプラントの初期固定が得られるときは埋入と同時に骨移植が可能な場合もありますが、あごの骨の吸収が大きく固定が得られない場合は骨造成後に行います。
骨が足りないからインプラントは難しいと断られた方も、一度ご相談下さい。
                院長 髙木謙一



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