歯を喪失した部分にインプラントを埋入する時期として
①抜歯と同時に外科手術を併用し、インプラントを埋入する
②抜歯4~8週間後の軟組織治癒後にインプラント埋入する(通常GBRを伴う埋入を行う)
③抜歯12~16週間後、抜歯窩が十分に治癒した所見を認めた後にインプラント埋入を行う(ソケットプリザベーションを行った場合は通常この分類に入る)
④6ヶ月以上経過した部位、もしくはGBR後にインプラント埋入を行う
の4つに分類されます(Willsonらの分類)。
抜歯と同時にインプラントを埋入するのが抜歯後即時埋入(Immediate Implants)です。その利点として
①治療期間の短縮
②最小限の手術侵襲と回数
③抜歯窩を埋入の参考にできる(一致するわけではありません)
④歯間乳頭の保存
等が挙げられます。過去には抜歯後即時にインプラントを埋入することにより顎骨形態の保全ができると期待されましたが、現在では即時埋入を行っても結局骨は吸収することがわかっています。欠点としては
①感染のリスクが増す
②初期固定が不十分になる可能性が高い
③抜歯窩に誘導されやすいため、理想的な位置への埋入が困難
④審美サイトでは組織の吸収量が予測できない
等が挙げられます。それでは少し待ってから埋入する待時埋入の利点としては
①様々な組織を造成できる機会がある
②GBR等の埋入前準備が可能
③組織造成量のコントロールが容易である
こと等が挙げられ、欠点としては
①治療期間が長くなる
②手術回数が増える
③手術侵襲が大きくなる傾向にある
こと等が挙げられます。
両者の成功率は未だ結論は出ておらず、研究者によってバラツキがあるのが現状です。自身の考えでは抜歯後即時埋入において万一理想的な位置に埋入できず唇側に位置してしまった場合は、術後に大きな歯肉退縮を起こす可能性が高く、もともとの歯の位置が大きく影響するため、審美サイトではリスクが高い方法であると考えております。そのため慎重な症例選択と熟練が必要となります。
抜歯前
抜歯時
抜歯後即時埋入
症例によってはとても有用な術式です。次回は審美サイトで私が日常よく行う早期埋入についてご説明します。
院長 髙木謙一