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TOPNEW INFO 最新のお知らせ > インプラント周囲の角化歯肉

2014.01.16 : インプラント周囲の角化歯肉

院長の髙木です。
年明けから昨年インプラントの埋入手術を受けられた方々の二次手術が多くなってきました。
過去にもご説明しましたが、二次手術とは二回法インプラントシステムにおいて、一回目の手術で顎骨内に埋入されたインプラント体の上部に歯ぐきを貫通させるアバットメントを連結させる外科処置のことをいいます。要するに「頭出し」です。この後歯ぐきが治癒したら型取りに入ります。
最近では一時のインプラント全盛期が終焉し、学会等でも新しいトピックスは激減し、基本中の基本の話や、診断用ツール、メインテナンスについてなどの話題が多く散見されます。
このことは、インプラントが、歯を喪失した部位の欠損補綴の選択肢として不可欠な治療メニューになっており、従来のブリッジや取り外しの義歯と並んで、禁忌症でない限りはいずれの症例においてもその利用の可能性を示さなければならなくなっていることを意味していると考えています。
私自身も一つ一つのステップをより慎重に、より正確に行うために基本に立ち返り、日々インプラント治療に臨んでいます。
現在、20~30歳代という若い年齢でケガや虫歯などで歯を喪失した部位に対してインプラントを受ける方が増えている一方で、1980年代にインプラントを受けて現在にいたっている70~80歳代の方々の長期症例も存在し、非常に幅広い世代にインプラント治療が施されているといわれています。
昨年度の「厚生労働省の歯科疾患実態調査」においてもインプラントを有する割合が各年代とも数%あり、80歳代においても数%はインプラントを有している結果となっています。このことより今後インプラントを保有している高齢者の割合が増加することが容易に予測できます。
インプラント治療後に長期的な安定を得るために、インプラント治療に際して考慮するポイントの一つであるインプラント周囲の角化歯肉についてお話します。


今日は上顎3本の二次手術がありました。歯槽堤の角化歯肉幅が8mm以上あればパンチブレードで歯肉をくり抜くだけで終了する場合もありますが、このケースでは十分な幅が欲しかったため歯槽頂切開法を行い、減張切開を加え縫合し、頬側に移動して幅を増大させました。二次手術では頭出しと同時にこの角化組織を増大させることも重要な目的です。
角化歯肉とは歯肉のうちの歯肉辺縁から歯肉歯槽粘膜境までの角化している部分のことをいいます。

臼歯部においては口腔前庭が浅いために角化歯肉の幅が狭いことが多いことが挙げられます。臼歯部は非審美領域ですから歯肉の安定性や機能性、清掃性を最重要視しています。
歯周組織の健康維持には2mmの角化歯肉と1mmの付着歯肉が必要(Langら)だとか、付着歯肉が2mm未満でも炎症のコントロールを十分に行っていればアタッチメントロスは生じないが、リコールを中断した群では遊離歯肉移植を行わないと歯肉退縮が増えた(Kennedyら)など多々報告があります。
つまり、炎症波及を防止する際に角化歯肉が必要だとされています。
一方、適切なプラークコントロールを行えば、角化歯肉が1mm以下でも歯肉の炎症は生じないとも報告されています。
しかし、歯肉退縮の予防、審美性の問題、清掃しやすいことなどからやはり角化歯肉は必要です。
角化歯肉が存在していることでクリーピング(クリーピングとは下がった歯ぐきが上がって回復すること)が起こりやすいとも考えられています。
インプラント周囲の角化歯肉の必要性についてはインプラント周囲組織への角化歯肉がない部位では、角化歯肉のある部位と比較して、歯肉退縮・付着の喪失が顕著に起こったとの報告(Buser D)が現在では信憑性が高いといえます。
また、可動性の粘膜内にインプラントを植立した場合、インプラントと接合上皮の界面が破壊され、炎症が波及しやすいとの報告(Schroeder Aら)もあります。
つまり、インプラント周囲に角化歯肉がない部位では歯肉の退縮・付着の喪失が起こりやすく、炎症が波及しやすくなるといえるのです。
そのため角化歯肉は歯周炎、インプラント周囲炎などの病変にはないよりもあったほうが良いと考えるのが妥当でしょう。
                                                             院長 髙木謙一



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