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TOPNEW INFO 最新のお知らせ > インプラントに対する生体側の反応

2014.02.01 : インプラントに対する生体側の反応

院長の髙木です。
早くも2月になりました。
昨日もインプラントの二次手術を数件、埋入手術も1件行いました。
シンプルな症例~難症例まで術前診断を綿密に行い慎重に治療しています。

インプラント治療を行う上で欠かせない課題の一つに「歯間乳頭の温存と再建」というテーマ
が挙げられます。
歯間乳頭の位置と形状は、隣接する天然歯を支える歯槽骨やインプラント周囲の接合上皮、
歯肉結合組織線維群に大きく左右されるといわれています。
歯頸線や歯間乳頭の温存のためには、抜歯後即時埋入などの埋入時期についても重要な
ポイントとなりますが、埋入手術時の切開線の設定、縫合法なども影響してきます。
歯間乳頭を温存する切開は、歯周辺縁切開を避けて、周囲歯肉を2mm程度残して縦切開を
行います。
昨日の手術でも歯周辺縁には切開を加えずに行っています。ただし繊細な縫合テクニック
が必要とされます。
審美領域では5-0ナイロン糸という細い糸を使用しています。

インプラント体(オッセオスピードTX)は理想的な位置に埋入されました。吸収性骨補填材を使用し、緊密に縫合しました。

さて、インプラントが埋入された生体側では、インプラントに対して一体どのような反応が
起こっているのでしょうか?
当たり前ですが、インプラントは自身の組織ではない「生体外物質」、要するに「異物」です。
専門的になりますが異物に対して生体がどのように反応するかといいますと、病理組織学
的には「吸収」・「貪食」・「融解」・「器質化」・「被包」という処理が行われます。このうちチタン
などのインプラン体に対しては主には「被包」が行われます。
点滴などの液状の生体外物質が体内に入った場合、血管やリンパ管などへ「吸収」されます。
吸収できない細菌などは血液中の好中球やマクロファージなどが「貪食」します。また、貪食
できない物質は酵素などで「融解」されることで吸収や貪食することもできるのです。あまりに
も大きな物質に対してはコラーゲン線維で包みこもうという処理が行われます。これが「被包」
です。
線維によって一層隔てられ、生体外として排除されます。コラーゲン線維をつくるのは線維芽
細胞です。また骨芽細胞という細胞が存在し、骨基質(コラーゲンなど)を分泌すると、石灰化
して骨になります。
線維芽細胞と骨芽細胞は同じ間葉系の細胞で、骨芽細胞に成長するのか線維芽細胞に成長
するかだけの違いです。
生体としては線維で被包しても骨で被包しても、異物を排除する機転という観点からは同じです。
インプラント体を体内に埋入することにおいて線維による被包は失敗と考えます。
しかし、元の細胞が骨芽細胞に分化して骨によってインプラントが被包されると成功と考えます。
骨補填材料に関しても同じことがいえます。
当たり前のようにインプラントという異物を体内に埋入しているのではなく、埋入後も絶えず変化
しているヒトの生体反応について十分に理解し、慎重に臨床に臨んでおります。
                       院長 髙木謙一



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