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TOPNEW INFO 最新のお知らせ > インプラントにおける骨質改善

2014.03.03 : インプラントにおける骨質改善

院長の髙木です。
本日はソケットリフトを併用したインプラント2本埋入の手術を行いました。
当院にはインプラント治療を希望される方が多くお越しになられますが、最近の当院でのインプラント埋入手術に
おいては、歯槽骨量が不足しているためにそのままの状態では埋入できないと診断され、何らかの骨造成処置を
必要とする症例が多くを占めていると感じています。
骨造成法は大きく分類して、欠損顎堤の部位や形態に応じて、内方への骨移植であるInlay graft(インレーグラフト)
とブロック状の移植骨を、顎堤の受容床骨面にスクリューで固定する骨移植法Onlay graft(オンレーグラフト)に分類
されます。
本日施術した上顎洞底拳上術はInlay graft(インレーグラフト)のカテゴリーに属します。
さらに上顎洞底拳上術は大別して上顎洞側壁から側方的にアプローチするLateral approach sinus lift(いわゆる
サイナスリフト)と歯槽頂から垂直的にアプローチするosteotome technique(いわゆるソケットリフト)に分類されます。

後方の1本は3mm上顎洞底拳上を行っています。ソケットリフトでの拳上量は4mm程度までが限界であると考えています。
タイプⅣの骨質でしたがテーパードタイプインプラントにより良好な初期固定が得られています。

このソケットリフトは1994年Summersによって発表され、今日までさまざまな改良がなされてきました。
ちなみにソケットリフトは「オステオトーム テクニック」、「クレスタル アプローチ」、「サマーズ テクニック」、「インターナル サイナスリフト」などさまざまな呼び名があります。

~Osteotome Technique(Summers)~
(A)Original Osteotome Technique
タイプⅢ~Ⅳの粗な骨質
(B)Ridge Expansion Osteotome(REO)
狭窄した上顎の骨幅の増大(頬舌側幅3mm以上)
(C)上顎洞底拳上
①狭義のOsteotome Sinus Floor Elevation(OSFE)
歯槽骨頂と上顎洞底間の残存骨量が5~6mmで、軟らかい海綿骨を含む顎堤
②Bone-Added-Osteotome Sinus Floor Elevation(BAOSFE)
OSFEに骨移植材を使用する
③Future Site Development(FSD)
残存骨量が少なく、インプラントの同時埋入が不可能で、トレフィンバーを使用し
オステオトームのタッピングによって拳上する
                                   by Summers 1994

開発者のSummersの論文ではOriginal Osteotome techniqueが基礎となり、これは上顎の脆弱な骨質の改善を
目的としたテクニックです。Ridge Expansion Osteotomeは歯槽骨頂をリッジエキスパンダーで側方に拡げることで
、骨の裂開を生じないようにインプラント窩を形成する方法です。そして上顎洞底の拳上がソケットリフト法であり、
さらに②の手法がソケットリフト法の基本的な手法で、現在一般的に定着している手法です。
主に、上顎洞底部の垂直的残存骨量が6mm以上あるときはソケットリフトと同時にインプラント埋入を行っています。

さて、インプラントを埋入する骨には色々な硬さがあり、LekholmとZarbにより骨質は次の4タイプに分類されています。

タイプⅠ 顎骨のほぼ全体が、均質な皮質骨で構成されているもの。
タイプⅡ 海綿骨が厚い皮質骨で覆われているもの。
タイプⅢ 十分な強度を持つ高密度の海綿骨が薄い皮質骨で覆われているもの。
タイプⅣ 低密度の海綿骨が非常に薄い皮質骨で覆われているもの。

骨の状態はタイプⅠからタイプⅣに順次悪く(脆弱な骨質)なります。
硬い骨にはインプラントはよく固定されますが、柔らかい骨に固定するのは難しくなります。
そのため柔らかい骨にインプラントを埋入する時は十分な配慮が必要になってきます。
骨質Ⅰは、前歯部に多くみられ、埋入には高いトルク(インプラント体が骨の抵抗に逆らって骨内を進む際に必要な力)
が必要でスクリュータイプのインプラント体埋入の場合、前もってネジ山を切る(タップ)ことが多いものです。ただし、
骨質が硬い場合、熱損傷を与えやすいので注意が必要となります。
骨質Ⅱは前歯部と下顎臼歯部に多く、中位~高いトルクでスムーズに埋入できます。
骨質Ⅲは上下顎臼歯部に多く、低い~中位のトルクで埋入できます。
骨質Ⅳは上顎臼歯部に多く、低いトルクで簡単に埋入できます。非常に軟らかいときには、埋入窩の拡大を通常より
小さくしたり、形状が先細りになったインプラント体かあるいはより直径の大きいものを用いて、インプラント体と周囲骨
との接触面積を大きくしたりします。
Summersの原法は洞底部粘膜を拳上することではなく、タイプⅢ、Ⅳの骨質の改善です。
インプラント窩の骨質改善は必須となり、骨質の改善を行わずドリリングのみでソケットリフトを行おうとする手技が頻繁
に採用されている傾向にありますが、既存の骨質が脆弱なままで、新たに補填材の填入を行ったとしても再生された骨
は決して本来の骨以上に骨質が良好であるとは断言できません。
このことより当院ではインプラント窩はパイロットドリルを使用する以外はオステオトームで形成しています。
症例によってはオステオトームで骨質の改善を試みても、タイプⅡまで改善するのが難しいケースも存在します。
操作中に抵抗感がなく、骨質の脆弱さを感じるケースですが、このような場合は最終オステオトームまで進めてしまうと
インプラント窩が大きくなってしまうため、一つ手前のオステオトームを最終インプラント窩とし、テーパードタイプのインプ
ラントを埋入することで初期固定が得られてスムーズな埋入が可能となります。
実際ツイストドリルはインプラント体の直径より0.3~0.5mmほど細く設定されていますが、ほとんどのメーカーの最終オス
テオトームはインプラント体の直径の約0.3mm程度しか細く設定されていないことが多いといわれています。
この差がさらにインプラント窩をルーズにしている原因にもなっています。
インプラントにおける骨質の改善は大変重要なものであると考えています。

当院ではできるかぎり「歯を削らない」「歯に負担をかけない」「長期的に安定する可能性が高い」「より自然に近い」をコン
セプトに総合歯科治療を行っておりインプラントはその一つのメソッドに過ぎません。また、今やインプラント治療は特別な
治療ではなくなっていますので、ご興味のある方はご相談下さい。
                                  院長 髙木謙一



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