院長の髙木です。
前回は神経性ショックについてお話しましたが、、今回はその次に歯科治療時に生じやすい
過換気症候群(Hyperventilation Syndrome)についてのお話です。
歯科治療とは関わらず、日常のあらゆる不安、緊張などのストレスからも生じます。
精神的な緊張が原因となり発作的に過換気を起こし、これにより血中の炭酸ガスは過剰に
対外に排出されてしまい、動脈血炭酸ガス分圧が低下します。この結果、呼吸性アルカロ
ーシス(血液のPHがアルカリ性に傾く)を呈します。血中炭酸ガスの低下から脳血管の収縮
に伴う脳血流量の減少によりめまいなどをきたします。また、血液PHの上昇の結果、血中
カルシウムイオンの減少をきたし、「助産婦様の手つき」などのテタニー症状を呈するほか、
呼吸循環系症状、筋肉症状、末梢神経症状など、多彩な症状を発症する症候群です。
その主な症状は自覚的には呼吸困難、口唇周囲や四肢末端のしびれ感、強い不安感、
他覚的には過呼吸、手指の硬直、意識レベルの低下です。発生頻度は、女性が男性の約2倍
で40際以下がほんどといわれています。夜間救急車で搬送される人の30%がこの過換気
症候群だといわれています。30分~60分程度で自然に軽快しますが、不安が強い人は数時間
かかることもあります。
歯科治療時には精神的ストレスの軽減に努め、場合によっては静脈内鎮静法、トランキライザ
ー内服によって局所麻酔や歯科処置に対する不安、緊張、恐怖感や不快感を取り除きます。
さらに無痛のための工夫を怠らないことが何より大切であると思っています。
麻酔の注射が痛い原因の一つに体との温度差による痛みがあります。
麻酔のカートリッジを体温に近い37℃に温め、保温してやさしい麻酔を心掛けております。