2012.05.21 ： 国際医療福祉大学三田病院新オープン記念歯科口腔外科講演会に出席

患者様には大変ご迷惑をお掛けいたしましたが、5/17（木）は当クリニックの関連医療機関の１つであり港区三田にあります国際医療福祉大学三田病院の新オープンを記念した歯科口腔外科主催の講演会にスタッフ全員と出席して参りました。東京専売病院を前身とし７０有余年の歴史ある病院です。この度建設工事が完了となり、地上11階・地下1Fの新病院誕生を記念した講演会でした。医局在職中には大変よくご指導いただきました現客員教授の朝波惣一郎先生、部長の矢郷香先生等久しぶりにお会いできて光栄でした。

講演会は2名の先生が登壇され、まずはOFP（口腔顔面痛）で有名な井川雅子先生による「非歯原性歯痛」でした。われわれ歯科医が日常遭遇する虫歯や歯周病などの一般的な痛みである歯原性歯痛ではない痛みです。ご提示いただいた非歯原性歯痛の分類は①筋・筋膜性歯痛②神経血管性歯痛③心臓性歯痛④神経障害性歯痛（1．発作性：三叉神経痛　2．持続性：帯状疱疹性神経痛）⑤上顎洞性歯痛⑥特発性歯痛（非定型歯痛）⑦精神疾患による歯痛⑧その他の様々な疾患により生じる歯痛でした。今回の講演のメインは特発性歯痛（非定型歯痛；AO）でした。AOの特徴として、歯や抜歯した後の部位に生じる痛みで、1）臨床的にも画像上でも器質的な異常は全く認められない。2）有病率は高い3）子供を除いてどの年齢にも生じ得るが、閉経後の女性に多い4）大・小臼歯が後発部位5）局所麻酔に対する反応は不明瞭6）鑑別は1歯に限局しているもの、多数歯に同時に生じるもの、顔面痛を伴うものなど様々7）根管治療の都度、疼痛が増悪することが多い・・・という内容で日常こういった疾患も潜んでいるため歯科疾患と誤診しないよう十分な問診・検査・経過観察が非常に重要であることを再確認できました。
2題目は岩手医大歯学部の熊谷章子先生による「大規模災害時の歯科医師の役割ー身元不明死体に対してー」でした。県警警察歯の活動や警察の身元確認作業における歯科医師の役割の重要性やまだまだ体制を整えるには多くの時間を要するといった内容で非常にためになる内容でした。
歯科というと当然ですが虫歯や歯周病、入れ歯などのイメージが強いですが、新たに多くの学問・役割が発展していくと思います。
それにしてもホテル並みの綺麗な病院にびっくりしました。関係者の方々お忙しい中このような会を設けて頂きましてありがとうございました。
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　院長　髙木謙一