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2014.04.22 : 春ですね

院長の髙木です。
4/20日曜日は久しぶりにゆっくりと休日がとれましたので、今年初めて東京ドームに足を運び、「巨人vs中日戦」を観戦してきました。



巨人の橋本到選手が今季2号目の2ランを放ちました。この日は3打点の大活躍、これから大変楽しみな選手です。

観戦の後、桜新町に立ち寄り、この日に開店した無国籍ビストロ「錨屋」さんで夕食。
広くて料理も美味しくまた訪れたいと思うお店でした。

桜新町といえば「サザエさん」の町で知られていますが、歩いていると・・・

サザエさんカフェなるものを発見。

昨日開店したそうで、多くの人で賑わっていました。
サザエさん焼きやあんみつなどの下町メニューが売りのようでテイクアウトも可能なようですよ。

春になり、多くの話題のスポットも増え、新しい出会いが沢山ありそうですね!

院長 髙木謙一


2014.04.18 : ゴールデンウィークの休診日について

ゴールデンウィークの休診日は暦通りとさせていただきます。

4月29日(火)             休診日
4月30日(水)~5月2日(金)

診療日
5月

3日(土)~5月6日(火)    休診日
5月 7日(水)~            通常診療

患者様にはご迷惑をおかけいたしますが何卒ご理解賜りますよう
宜しくお願い申し上げます。


2014.04.10 : 新しいスタッフ

初夏を思わせる陽気で過ごしやすい気候になりました。

さて、当院では4月より新たなスタッフとして受付2名、アシスタント1名が勤務しております。
今後新たににスタッフ増員を予定しております。

患者様に安心してご通院いただけますよう技術知識の向上・ホスピタリティー・マナーなど
スタッフ教育には力を入れて参りますのでどうぞ宜しくお願い申し上げます。
院長 髙木謙一


2014.03.03 : インプラントにおける骨質改善

院長の髙木です。
本日はソケットリフトを併用したインプラント2本埋入の手術を行いました。
当院にはインプラント治療を希望される方が多くお越しになられますが、最近の当院でのインプラント埋入手術に
おいては、歯槽骨量が不足しているためにそのままの状態では埋入できないと診断され、何らかの骨造成処置を
必要とする症例が多くを占めていると感じています。
骨造成法は大きく分類して、欠損顎堤の部位や形態に応じて、内方への骨移植であるInlay graft(インレーグラフト)
とブロック状の移植骨を、顎堤の受容床骨面にスクリューで固定する骨移植法Onlay graft(オンレーグラフト)に分類
されます。
本日施術した上顎洞底拳上術はInlay graft(インレーグラフト)のカテゴリーに属します。
さらに上顎洞底拳上術は大別して上顎洞側壁から側方的にアプローチするLateral approach sinus lift(いわゆる
サイナスリフト)と歯槽頂から垂直的にアプローチするosteotome technique(いわゆるソケットリフト)に分類されます。

後方の1本は3mm上顎洞底拳上を行っています。ソケットリフトでの拳上量は4mm程度までが限界であると考えています。
タイプⅣの骨質でしたがテーパードタイプインプラントにより良好な初期固定が得られています。

このソケットリフトは1994年Summersによって発表され、今日までさまざまな改良がなされてきました。
ちなみにソケットリフトは「オステオトーム テクニック」、「クレスタル アプローチ」、「サマーズ テクニック」、「インターナル サイナスリフト」などさまざまな呼び名があります。

~Osteotome Technique(Summers)~
(A)Original Osteotome Technique
タイプⅢ~Ⅳの粗な骨質
(B)Ridge Expansion Osteotome(REO)
狭窄した上顎の骨幅の増大(頬舌側幅3mm以上)
(C)上顎洞底拳上
①狭義のOsteotome Sinus Floor Elevation(OSFE)
歯槽骨頂と上顎洞底間の残存骨量が5~6mmで、軟らかい海綿骨を含む顎堤
②Bone-Added-Osteotome Sinus Floor Elevation(BAOSFE)
OSFEに骨移植材を使用する
③Future Site Development(FSD)
残存骨量が少なく、インプラントの同時埋入が不可能で、トレフィンバーを使用し
オステオトームのタッピングによって拳上する
                                   by Summers 1994

開発者のSummersの論文ではOriginal Osteotome techniqueが基礎となり、これは上顎の脆弱な骨質の改善を
目的としたテクニックです。Ridge Expansion Osteotomeは歯槽骨頂をリッジエキスパンダーで側方に拡げることで
、骨の裂開を生じないようにインプラント窩を形成する方法です。そして上顎洞底の拳上がソケットリフト法であり、
さらに②の手法がソケットリフト法の基本的な手法で、現在一般的に定着している手法です。
主に、上顎洞底部の垂直的残存骨量が6mm以上あるときはソケットリフトと同時にインプラント埋入を行っています。

さて、インプラントを埋入する骨には色々な硬さがあり、LekholmとZarbにより骨質は次の4タイプに分類されています。

タイプⅠ 顎骨のほぼ全体が、均質な皮質骨で構成されているもの。
タイプⅡ 海綿骨が厚い皮質骨で覆われているもの。
タイプⅢ 十分な強度を持つ高密度の海綿骨が薄い皮質骨で覆われているもの。
タイプⅣ 低密度の海綿骨が非常に薄い皮質骨で覆われているもの。

骨の状態はタイプⅠからタイプⅣに順次悪く(脆弱な骨質)なります。
硬い骨にはインプラントはよく固定されますが、柔らかい骨に固定するのは難しくなります。
そのため柔らかい骨にインプラントを埋入する時は十分な配慮が必要になってきます。
骨質Ⅰは、前歯部に多くみられ、埋入には高いトルク(インプラント体が骨の抵抗に逆らって骨内を進む際に必要な力)
が必要でスクリュータイプのインプラント体埋入の場合、前もってネジ山を切る(タップ)ことが多いものです。ただし、
骨質が硬い場合、熱損傷を与えやすいので注意が必要となります。
骨質Ⅱは前歯部と下顎臼歯部に多く、中位~高いトルクでスムーズに埋入できます。
骨質Ⅲは上下顎臼歯部に多く、低い~中位のトルクで埋入できます。
骨質Ⅳは上顎臼歯部に多く、低いトルクで簡単に埋入できます。非常に軟らかいときには、埋入窩の拡大を通常より
小さくしたり、形状が先細りになったインプラント体かあるいはより直径の大きいものを用いて、インプラント体と周囲骨
との接触面積を大きくしたりします。
Summersの原法は洞底部粘膜を拳上することではなく、タイプⅢ、Ⅳの骨質の改善です。
インプラント窩の骨質改善は必須となり、骨質の改善を行わずドリリングのみでソケットリフトを行おうとする手技が頻繁
に採用されている傾向にありますが、既存の骨質が脆弱なままで、新たに補填材の填入を行ったとしても再生された骨
は決して本来の骨以上に骨質が良好であるとは断言できません。
このことより当院ではインプラント窩はパイロットドリルを使用する以外はオステオトームで形成しています。
症例によってはオステオトームで骨質の改善を試みても、タイプⅡまで改善するのが難しいケースも存在します。
操作中に抵抗感がなく、骨質の脆弱さを感じるケースですが、このような場合は最終オステオトームまで進めてしまうと
インプラント窩が大きくなってしまうため、一つ手前のオステオトームを最終インプラント窩とし、テーパードタイプのインプ
ラントを埋入することで初期固定が得られてスムーズな埋入が可能となります。
実際ツイストドリルはインプラント体の直径より0.3~0.5mmほど細く設定されていますが、ほとんどのメーカーの最終オス
テオトームはインプラント体の直径の約0.3mm程度しか細く設定されていないことが多いといわれています。
この差がさらにインプラント窩をルーズにしている原因にもなっています。
インプラントにおける骨質の改善は大変重要なものであると考えています。

当院ではできるかぎり「歯を削らない」「歯に負担をかけない」「長期的に安定する可能性が高い」「より自然に近い」をコン
セプトに総合歯科治療を行っておりインプラントはその一つのメソッドに過ぎません。また、今やインプラント治療は特別な
治療ではなくなっていますので、ご興味のある方はご相談下さい。
                                  院長 髙木謙一


2014.02.24 : インプラントの印象採得

院長の髙木です。
インプラントにおける印象採得(型採りのことです)は、天然歯の歯冠修復における印象採得とは異なり、口くう内に
おけるインプラント体または前回解説しましたアバットメントの位置関係と周囲の軟組織の形態を専用の印象用トラ
ンスファーコーピング(以下、コーピングと記す)を用いて模型上に再現することがその目的です。

インプラントの印象採得には「オープントレー法」と「クローズドトレー法」という2つの方法があります。
また、印象のレベルについては「インプラント体レベル」と「アバットメントレベル」での印象採得に分けられます。
(オープントレー法)

コーピングを固定用ガイドスクリューにてインプラント体に連結して型採りをします。

オープントレー印象に用いられる個人トレー

写真は印象の内面です。この方法ではコーピングのボディ部が取り込まれます。
このオープントレー法とは、いわゆる取り込み印象(ピックアップ印象)法をいいます。二次手術後にインプラント周囲の歯ぐき
が治癒したのち、ヒーリングアバットメントを外してインプラント体とコーピングをスクリューで固定させ、その一部をトレーより
露出させます。コーピングスクリューを緩めて印象体とコーピングを同時に口くう内から取り去る方法です。

(クローズドトレー法)

コーピングをインプラント体に連結して型を採ります。

クローズドトレー印象に用いられる個人トレー

写真は印象の内面です。コーピングは口腔内に残存します。
このクローズドトレー法(トランスファー印象ともいう)は、二次手術後インプラント周囲の歯ぐきが治癒したのち、ヒーリン
グアバットメントを外して、印象用コーピングをインプラント体に接合させ、型採り後口くう内に残存するのが一般的です。
取得された印象にラボサイドでコーピングを戻したあと、アナログを接合させ模型を製作します。

各インプラントシステムにおいては、オープントレー法とクローズドトレー法が症例に応じて選択的に用いられます。
一般的に、同一の歯列内に複数のインプラント体を埋入する場合は、印象再現性に優れることからオープントレー法が
用いられます。これに対して、インプラント体の埋入本数が少ない場合には、印象採得の簡便さからクローズドトレー法
が用いられることが多いといえます。
埋入本数が3本以下の場合2つの方法では有意差はありません。

オープントレー法とクローズドトレー法を比較しますと
(オープントレー法)
①術式がやや煩雑である
②複数のインプラント体埋入症例においては、印象精度がクローズドトレー法に比較して優れている
③コーピングの高径がクローズドトレー用と比較して高く、開口量が少ない臼歯部には装着しにくい
④コーピングの幅径がクローズドトレー用と比較して広く、埋入間隙が狭い場合には装着しにくい
(クローズドトレー法)
①術式が単純である
②印象精度がオープントレー法に比較して若干劣る
③コーピングの高径がオープントレー用と比較して低く、開口量が少ない場合でも装着しやすい
④コーピングの幅径がオープントレー用と比較して狭く、埋入間隙が狭い場合でも装着しやすい
などが挙げられます。
印象での誤差は複数本のインプラントの場合、その埋入本数でエラーが乗算される可能性があるとされています。
3本以下の本数でのインプラントの印象の場合、2つの方法での臨床上での精度に有意差はないといわれています。
しかし、4本以上の印象採得の場合、オープントレー法による印象方法が誤差を減少させることができると考えられて
います。

次に、印象レベルについてご説明します。
「インプラント体レベルの印象」とはインプラント体レベルにおけるコーピングを用いて印象採得を行うことをいいます。
インプラント体に連結するインプラント体レベル用のコーピングは回転防止機構を備えており、インプラント体の位置
関係が正確に模型上に再現されます。
「アバットメントレベルの印象」とはインプラント体に既製のアバットメントを装着した後に、アバットメントレベルにおける
コーピングを用いて印象採得を行うことで、アバットメントの位置関係が模型上に再現されます。
両者の比較は、既製のアバットメントを用いて暫間的もしくは最終上部構造物を製作することを前提としている症例
において、口くう内でアバットメントを選択してインプラント体を連結した場合は、アバットメントレベルでの印象採得を
行います。一方、模型上でアバットメントを選択したい場合は、インプラント体レベルでの印象採得を行います。
また、カスタムメイドアバットメントを用いた最終上部構造物を製作することを前提としている症例においても、インプラ
ント体レベルでの印象を行います。
カスタムメイドアバットメントはインプラント体からの立ち上がりの形態(エマージェンスプロファイル)を自由に設定できる
ため、インプラント周囲に調和した形態を製作することが可能となります。
それに先立ち装着する暫間上部構造物はアバットメントを介さず直接インプラント体に連結し、インプラント周囲に軟組織
の形態の誘導と安定が図られることが多いのです。さらには、安定したインプラント周囲軟組織の形態を模型に再現する
ため、暫間上部構造物と同様に立ち上がりをもったカスタムメイドのコーピングを製作して、それを用いて最終上部構造物
の印象採得を行う場合もあります。

インプラント治療は非常に高い専門性を要求される治療です。細かな配慮が必要で、術前診断から始まり、埋入手術(時期
や方法)二次手術、印象採得、上部構造物装着、メインテナンス・・・すべての過程での細かな配慮により長期的に安定し、
審美的にも優れたインプラント治療が成り立ちます。
                                              院長 髙木謙一


2014.02.10 : インプラントのアバットメント

こんにちは。院長の髙木です。

インプラントの構造は大きく2つの部分、歯根に相当する骨内部分(インプラント体)と歯冠に相当する部分(アバットメントと上部構造)
から構成されます。

今回はこのうちのアバットメントについて解説します。まず、インプラント体とアバットメントの連結機構は、①インプラント体
トップの外側に六角形のナット状回転防止機構を有するエクスターナルジョイント型、②インプラント体内部に回転防止
機構を有するインターナルジョイント型、③インプラント体内側にテーパー状の連結部があり、円錐状アバットメントとスリップ
ジョイントで結合するテーパージョイント型に分類されます。

エクスターナルジョイント型は機械加工が容易で、規格化によりシステム間に互換性をもたせやすいことが特徴です。
インターナルジョイント型はエクスターナルジョイント型と比較して、機械工学的に側方圧に対する抵抗力が大きく、応力の集中
状態もまったく異なります。現在はさまざまな長所により、使用頻度は増加しており、多くのシステムが競って開発を行っています。
テーパージョイント型(スリップジョイント型)はインプラント体上部にアバットメント連結用テーパーが付与されており、アバットメント
をねじ込んでいくとテーパー部を押し広げ、くさび効果により強固に固定されます。当院で採用しておりますアストラテックインプラ
ントの連結機構はこのテーパーフリクションです。

次にアバットメントの種類について解説します。、上部構造の固定様式はネジで止めるスクリュー固定式とセメントで止めるセメント
固定式にに大別されますが、セメント固定式のアバットメントにはワンピースタイプとツーピースタイプがあります。ワンピースタイプ
は回転防止機構がなく、お口の中での位置の再現性と支台(間)の角度補正に制限があるために、臼歯部などでインプラント間の
平行性がよい場合のみに使用されてきました。この欠点を補うアバットメントとして、ツーピースタイプで支台形成が可能なチタン製
アバットメントが1990年代初頭から提供されはじめたのです。現在セメント固定式で使用されるアバットメントは以下の3種類です。
既製の形成用ツーピースアバットメント
ツーピースタイプの基本構造はチタン製のシリンダーとアバットメントスクリューからなります。
シリンダー部の削除による支台形態の付与が容易で、ある程度の角度補正が可能なため、機能的かつ審美的にも満足のいく補綴
装置の製作が可能となります。材質はチタン製とセラミック製(アルミナ、ジルコニアなど)であり、とくに前歯部で上部構造にオール
セラミッククラウンを応用する場合には、既製のセラミックアバットメントを使用する頻度は高いといえます。
鋳接によるカスタムアバットメント
鋳接によるカスタムメイドのアバットメントは、UCLAアバットメントを用いて支台形態をワックスアップした後に金合金で鋳接する方法
が一般的です。このアバットメントの利点は、支台歯形態付与の自由性、インプラント埋入角度の補綴的補正、支台歯間の平行性の
確保、適切なエマージェンスプロファイル(インプラント体からの立ち上がりの形態)獲得などで、技工操作の容易性により使用される
頻度は高iいといえます。
CAD/CAM応用アバットメント
CAD/CAMにより、インプラントの接合部までを含めた完全なカスタムメイドアバットメントの製作が容易です。
CAD/CAMとは、Computer-Aided-Design/Computer-Aided-Manufactureingの略でコンピューターを使用して製品の設計、製造を
するためのシステムのことです。歯科領域では従来手作業により作製されてきた技工物の一部をコンピューター制御の機械におき
かえる一連のシステムをさします。作業の効率化と品質のバラツキ防止が可能となり、従来利用できなかった材料を使用可能なもの
にしました。このアバットメントの特徴は、鋳接によるカスタムアバットメントと比較して(1)生体親和性に優れる、(2)インプラント体
トップからのエマージェンスプロファイルの付与が可能なこと、(3)補綴歯種と調和したアバットメントサイズの付与が可能なことなどです。
ただし、アバットメント製作時までに理想的な暫間補綴装置による歯肉形態を作り出さないと意味がなく、技工施設とのコミュニケーシ
ョン(情報交換)ならびに時間的な制限も大きいことが注意点となります。

この症例はGC社のAadva Ti(チタン)アバットメントで、CAD/CAM応用アバットメントです。インプラントはアストラテックの
オッセオスピードTⅩで、連結はテーパードジョイント型です。

適切なエマージェンスプロファイルの形成が得られた状態です。

アバットメントが連結された状態です。

アバットメントの上にセラミックの上部構造物を装着し完了となります。

レントゲン所見です。インプラント体とアバットメントはスリップジョイントにより強固に連結されています。
後方2本はサイナスリフトを併用しましたが骨置換も良好といえます。

このようにインプラント治療においてはさまざまなパーツや材質があり、作製方法も異なります。
「取り外しの義歯」を使ってらした方が「インプラント治療」に踏み切られ、上部構造が装着された際の嬉しそうなお顔を
拝見するのが毎回楽しみです。
そこからは大切に使っていただくために定期検診・メインテナンスは欠かせません。
詳しい検査・その方にあった時期、術式など丁寧な説明を行っております。
他院でインプラント治療は難しいと断られた方でもあきらめずにお気軽にご相談下さい。
                               院長 髙木謙一


2014.02.01 : インプラントに対する生体側の反応

院長の髙木です。
早くも2月になりました。
昨日もインプラントの二次手術を数件、埋入手術も1件行いました。
シンプルな症例~難症例まで術前診断を綿密に行い慎重に治療しています。

インプラント治療を行う上で欠かせない課題の一つに「歯間乳頭の温存と再建」というテーマ
が挙げられます。
歯間乳頭の位置と形状は、隣接する天然歯を支える歯槽骨やインプラント周囲の接合上皮、
歯肉結合組織線維群に大きく左右されるといわれています。
歯頸線や歯間乳頭の温存のためには、抜歯後即時埋入などの埋入時期についても重要な
ポイントとなりますが、埋入手術時の切開線の設定、縫合法なども影響してきます。
歯間乳頭を温存する切開は、歯周辺縁切開を避けて、周囲歯肉を2mm程度残して縦切開を
行います。
昨日の手術でも歯周辺縁には切開を加えずに行っています。ただし繊細な縫合テクニック
が必要とされます。
審美領域では5-0ナイロン糸という細い糸を使用しています。

インプラント体(オッセオスピードTX)は理想的な位置に埋入されました。吸収性骨補填材を使用し、緊密に縫合しました。

さて、インプラントが埋入された生体側では、インプラントに対して一体どのような反応が
起こっているのでしょうか?
当たり前ですが、インプラントは自身の組織ではない「生体外物質」、要するに「異物」です。
専門的になりますが異物に対して生体がどのように反応するかといいますと、病理組織学
的には「吸収」・「貪食」・「融解」・「器質化」・「被包」という処理が行われます。このうちチタン
などのインプラン体に対しては主には「被包」が行われます。
点滴などの液状の生体外物質が体内に入った場合、血管やリンパ管などへ「吸収」されます。
吸収できない細菌などは血液中の好中球やマクロファージなどが「貪食」します。また、貪食
できない物質は酵素などで「融解」されることで吸収や貪食することもできるのです。あまりに
も大きな物質に対してはコラーゲン線維で包みこもうという処理が行われます。これが「被包」
です。
線維によって一層隔てられ、生体外として排除されます。コラーゲン線維をつくるのは線維芽
細胞です。また骨芽細胞という細胞が存在し、骨基質(コラーゲンなど)を分泌すると、石灰化
して骨になります。
線維芽細胞と骨芽細胞は同じ間葉系の細胞で、骨芽細胞に成長するのか線維芽細胞に成長
するかだけの違いです。
生体としては線維で被包しても骨で被包しても、異物を排除する機転という観点からは同じです。
インプラント体を体内に埋入することにおいて線維による被包は失敗と考えます。
しかし、元の細胞が骨芽細胞に分化して骨によってインプラントが被包されると成功と考えます。
骨補填材料に関しても同じことがいえます。
当たり前のようにインプラントという異物を体内に埋入しているのではなく、埋入後も絶えず変化
しているヒトの生体反応について十分に理解し、慎重に臨床に臨んでおります。
                       院長 髙木謙一


2014.01.28 : インプラント治療の設備環境

院長の髙木です。
街は門松からチョコレートへすごい速さで変わってきているのを感じる今日この頃です。
そしてソチ五輪、消費税アップ前の年度末商戦・・・さらには都知事選挙までも控えていますね。
来月から大イベントが盛りだくさんですね。

さて当院では先週末からインプラントの手術が連続しています。今週まだ手術を控えています。
昨日のケースは高度に顎堤が吸収し、抜歯後にGBRを行った後、待時期間を置いてから埋入した下顎3本
埋入の難症例でしたが、手術は無事に終わりました。
開院以来、インプラント治療を希望なさる方が日に日に増えてきておりますが、当院でのインプラント治療に
対する環境設備はご信頼をいただいている理由の一つかもしれません。

私なりに考える「インプラント治療を受ける際の医院選びの基準」を挙げますと
①インプラント治療についての丁寧な説明を行っている(他の治療法の詳しい説明、メリット・デメリットも)
②インプラント専用の手術室が完備されている(清潔域と不潔域の区別)
③CT撮影を必ず行っている(3次元データの収集)
④術前の初期治療をしっかりと行い、指導を行っている
⑤インプラント治療経験が豊富
⑥新しい知識が豊富
⑦保障期間が設けられている
⑧総合歯科診療を行っている(保険治療を含めたインプラント以外の治療)
⑨記録・管理をしっかりと行っている(術前・術後の写真や術中記録などのデータ管理)
⑩定期検診を実施している
こんなところでしょうか。

そのうちの重要な判断基準の一つとなるのが「インプラント専用手術室が完備されている」ということです。

インプラント治療は高度先進外科医療であり、歯を削って詰めたり、入れ歯を調整するなどの他の歯科一般
治療とは異なります。
現代インプラントの開発者ペル・イングヴァール・ブローネマルク博士も「インプラントは絶対に通常のチェア
ーで行ってはならない」ことを常々教育されていたとききます。
インプラント手術においては様々な配慮と設備が必要となります。
ですが現在でも一般のチェアーで手術を行っている歯科医院も多くあるようです。
まず第一に異物を体内に植え込む手術ですから清潔な環境が重要です。そのような環境を専用手術室という形
で備えているかどうかは最低限の判断基準となります。
骨を削り、人工物を埋入する際には細菌が入り込むようなことがないよう無菌状態の維持は勿論、滅菌したガウン
や手袋(アシスタントも)の使用なども重要となります。当院ではすべてディスポーザブル(使い捨て)のものを使用
しています。これらはそれなりにコストはかかりますが、インプラント治療を行っている医院であれば当然行われる
べきことです。
それに加えて術中には患者様の体調変化などのチェックも必要となりますので、脈拍や血圧などの変化をしっかりと
把握できる環境も備えられているべきです。
これらのことはインプラント治療に対して真摯に本格的に取り組んでいるかどうかの判断基準の一つになると考えて
よいでしょう。
                                 院長 髙木謙一


2014.01.16 : インプラント周囲の角化歯肉

院長の髙木です。
年明けから昨年インプラントの埋入手術を受けられた方々の二次手術が多くなってきました。
過去にもご説明しましたが、二次手術とは二回法インプラントシステムにおいて、一回目の手術で顎骨内に埋入されたインプラント体の上部に歯ぐきを貫通させるアバットメントを連結させる外科処置のことをいいます。要するに「頭出し」です。この後歯ぐきが治癒したら型取りに入ります。
最近では一時のインプラント全盛期が終焉し、学会等でも新しいトピックスは激減し、基本中の基本の話や、診断用ツール、メインテナンスについてなどの話題が多く散見されます。
このことは、インプラントが、歯を喪失した部位の欠損補綴の選択肢として不可欠な治療メニューになっており、従来のブリッジや取り外しの義歯と並んで、禁忌症でない限りはいずれの症例においてもその利用の可能性を示さなければならなくなっていることを意味していると考えています。
私自身も一つ一つのステップをより慎重に、より正確に行うために基本に立ち返り、日々インプラント治療に臨んでいます。
現在、20~30歳代という若い年齢でケガや虫歯などで歯を喪失した部位に対してインプラントを受ける方が増えている一方で、1980年代にインプラントを受けて現在にいたっている70~80歳代の方々の長期症例も存在し、非常に幅広い世代にインプラント治療が施されているといわれています。
昨年度の「厚生労働省の歯科疾患実態調査」においてもインプラントを有する割合が各年代とも数%あり、80歳代においても数%はインプラントを有している結果となっています。このことより今後インプラントを保有している高齢者の割合が増加することが容易に予測できます。
インプラント治療後に長期的な安定を得るために、インプラント治療に際して考慮するポイントの一つであるインプラント周囲の角化歯肉についてお話します。


今日は上顎3本の二次手術がありました。歯槽堤の角化歯肉幅が8mm以上あればパンチブレードで歯肉をくり抜くだけで終了する場合もありますが、このケースでは十分な幅が欲しかったため歯槽頂切開法を行い、減張切開を加え縫合し、頬側に移動して幅を増大させました。二次手術では頭出しと同時にこの角化組織を増大させることも重要な目的です。
角化歯肉とは歯肉のうちの歯肉辺縁から歯肉歯槽粘膜境までの角化している部分のことをいいます。

臼歯部においては口腔前庭が浅いために角化歯肉の幅が狭いことが多いことが挙げられます。臼歯部は非審美領域ですから歯肉の安定性や機能性、清掃性を最重要視しています。
歯周組織の健康維持には2mmの角化歯肉と1mmの付着歯肉が必要(Langら)だとか、付着歯肉が2mm未満でも炎症のコントロールを十分に行っていればアタッチメントロスは生じないが、リコールを中断した群では遊離歯肉移植を行わないと歯肉退縮が増えた(Kennedyら)など多々報告があります。
つまり、炎症波及を防止する際に角化歯肉が必要だとされています。
一方、適切なプラークコントロールを行えば、角化歯肉が1mm以下でも歯肉の炎症は生じないとも報告されています。
しかし、歯肉退縮の予防、審美性の問題、清掃しやすいことなどからやはり角化歯肉は必要です。
角化歯肉が存在していることでクリーピング(クリーピングとは下がった歯ぐきが上がって回復すること)が起こりやすいとも考えられています。
インプラント周囲の角化歯肉の必要性についてはインプラント周囲組織への角化歯肉がない部位では、角化歯肉のある部位と比較して、歯肉退縮・付着の喪失が顕著に起こったとの報告(Buser D)が現在では信憑性が高いといえます。
また、可動性の粘膜内にインプラントを植立した場合、インプラントと接合上皮の界面が破壊され、炎症が波及しやすいとの報告(Schroeder Aら)もあります。
つまり、インプラント周囲に角化歯肉がない部位では歯肉の退縮・付着の喪失が起こりやすく、炎症が波及しやすくなるといえるのです。
そのため角化歯肉は歯周炎、インプラント周囲炎などの病変にはないよりもあったほうが良いと考えるのが妥当でしょう。
                                                             院長 髙木謙一


2014.01.10 : ホワイトニングで管理型歯科医療へ

白くてきれいな歯が健康や美しい笑顔を象徴することから、人々は昔から白い歯への憧れを強くもっています。
2001年に実施された歯の関心度に関するアンケート結果において、欧米では自分の歯の色に自信があると応えた人は
63%であったのに対し、日本では12%という結果であったとされています。
この結果は日本人の歯の白さに対する意識が低いことの表れでした。
しかし、それから10年以上経過した現在、「歯が白くなる」と表示されたグッズはドラッグストア等で数多く販売され身近な
ものとなりました。
ホワイトングは過酸化物から発生するフリーラジカルの酸化作用を利用して歯質に沈着する汚物を分解し、漂白効果を
得るものです。
当院にも毎月多くの方々が白くてきれいな歯になりたいと希望され来院されます。
そしてホワイトニングが終了してから数か月後に定期検診を受けられることをお奨めしています。
歯のクリーニングによって表面の着色を取り除くとともに、ホワイトニング効果の再評価を行うためです。
ホワイニングによってお口への関心が高まり、白さを保つことでお口のケアに対する患者様のモチベーションが上がること
が期待されます。
白い歯は人々の健康へのシンボルであり、人々のQOLとヘルスプロモーションへの意識を一層高めます。
これらをサポートするわれわれ医療サイドにとっても「歯を削って詰めるだけ」の従来の歯科医療からあらゆるライフステージ
でのお口の中の健康管理を担う「管理型歯科医療」への変換のきっかけともなるはずであり、ホワイトングは一時的な流行り
ではなく、今後歯科領域で一層重要なメニューになると考えております。
                                  



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