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2012.11.05 : ダイアグノデントペンをMI治療に導入しています②

 これまでは数値でムシ歯の進行状態などを診査・診断するシステムは確立されておりませんでした。
 当院で使用している「ダイアグノデントペン」は歯にそっと沿わせ、歯面に655nmの低出力のレーザー光を照射するだけなので、痛みは一切なく、小さなお子様や妊婦の方(X線診断により被爆させることもありません)にも安心してご使用いただけます。測定された数値でムシ歯の進行状態をわかりやすくご説明できます。
 プローブから出たレーザー光は測定しにくい隣接面や小窩裂溝部のムシ歯の歯面から約2mmの深度まで到達し、ムシ歯のもつ特性である蛍光反射を読み取り、数値化します。定期的に使用することでムシ歯の進行状態を把握し管理することが可能となります。

 また、ムシ歯に留まらず歯周病の予防のためにはプラークコントロールや歯石除去が重要ですが、歯周ポケット内にペリオ用プローブを挿入することで歯石の大きさなどの判別にも使用できます。

 ダイアグノデントにより数値そのものも非常に大きな診断になりますが、数値そのものよりも数値の変化も大切です。メインテナンスにより数値が下がることがあるからです。ムシ歯が進行、停止を繰り返す性質からすぐに削るか否かの判別に有効です。ムシ歯の進行度合いを従来のレントゲン診査のみで確認することは真の進行度合いの把握にはなりません。これはあくまで結果であり、患者さん固有の進行度を測定するという観点から定期的な健診での数値化ということが本来の経過観察であると考えております。ただ「経過を見ましょう」というのは科学的ではありません。

ダイアグノデントの測定値における定められた基準はありませんが、以下はスイスのベルン大学のデータで一つの目安になります。
裂溝・平滑面       隣接面          診断~治療
0~12            0~7      (健全歯)歯面清掃(PMTC)

13~24           8~15      (エナメルう蝕)フッ素・積極的PMTCと経過観察・最小限侵襲的治療・う蝕のリスク因子検討

>25             >16      (象牙質う蝕)最小限の侵襲的治療・積極的PMTC

            


2012.10.29 : ダイアグノデントペンをMI治療に導入しています①

MIとはミニマルインターベンション(Minimal Intervention)の頭文字です。
2002年のFD宣言で世界中に配信されたムシ歯治療の概念です。
その内容の要約は
「ムシ歯は感染症である」
「患者教育の徹底」
「う窩を形成していないムシ歯は経過観察を行い、再石灰化に導く」
「う窩を形成していないムシ歯は最小限の侵襲で治療を行う」
「欠陥のある補綴物は予防的観点で積極的に補修を行う」
というものです。

ムシ歯治療において従来の診査方法だけでは経時的な状態を把握できないため、治療のタイミングが判断できないだけではなく、患者さんに状況が説明できないため、MI治療が実践しにくくなります。
口くうの2大疾患である「歯周病」と「ムシ歯」。その検査の目的を比較すると歯周病ではプロービングなどで進行度を数値で管理することを目的としているのに対し、ムシ歯の検査は経過を観察する手段がなく、目的が大きく異なっています。
当院では歯周病と同じくムシ歯の状態を経時的に数値で管理できる「ダイアグノデントペン」を使用しています。
これにより「見つけてすぐに削る治療」から「進行状況に合わせて適切に管理する治療」を実践しています。

             


2012.10.22 : インプラント-遊離端欠損症例において-

臼歯部の欠損症例においては、ムシ歯になりやすい方では第一大臼歯が多く、歯周病の方では第二大臼歯部が多いと推測されています。これらをインプラント治療以外で治療する場合はブリッジか取り外しの入れ歯となり数年後、あるいは十数年後に、第一大臼歯および第二大臼歯が保存不可能となるようなケースが多く、結果的に遊離端欠損症となることが多くなります。
遊離端欠損とは歯が部分的に欠損した歯列のうち、欠損部の遠心に残存歯がないことをいいます。
片側遊離端欠損症に至る原因を咬合力(噛む力)の観点から考えてみましょう。
正常有歯顎者における各歯の咬合力比は後方歯群ほど大きいとされています。
そのため、第一大臼歯、第二大臼歯どちらか1歯を喪失すると、欠損に隣接する歯に過大な負荷がかかることになり、将来的に第一大臼歯、第二大臼歯ともに失ってしまう可能性が高くなることが考えられるのです。
さらに歯列の欠損パターンは片側性遊離端欠損→両側性遊離端欠損→拡大した両側遊離端欠損と欠損症は進行するというデータがあります。
すなわち、咬合支持域が失われると滑走運動障害が生じ、咬合崩壊へと移行するリスクが高くなります。
このことより、遊離端欠損症例では、咬合負荷のバランス崩壊、滑走運動障害の入口にあり、病態を悪化させないためにはより確実な治療が必要となります。
遊離端欠損症例に対し、インプラントを行うことで、欠損隣在歯への咬合力は大幅に減少され、咬合は左右のバランスが整えられ、咬合の一極集中を回避させられることが可能となります。
ただし、遊離端欠損部におけるインプラントの長期経過症例においてもトラブルは生じます。主には
     ①上部構造物
     ②インプラント本体
     ③残存歯    
に大別されます。
上部構造物ではセラミックの破折、ネジの緩み、脱離などですが、これらは修理や再作製あるいは歯ぎしり防止や咬合調整で対応します。
インプラント本体では主にはインプラント周囲炎であり、定期的なメインテナンスで予防し、生じた場合は早期発見と、早期の処置で対応します。
また、インプラントにより咬合機能が回復し、咬合力が強くなると今まで何とか残存してきた歯では破折等のトラブルが生じることもあり、それらも踏まえてトータルな診断能力も要求されます。

下顎右側遊離端欠損で長年取り外しの入れ歯が不快なため、片側でばかり噛んでいたという方です。
インプラント治療後は異物感も解消され両側でしっかりと噛めるようになったと大変喜ばれています。
インプラントはしっかりとした診断、技術があれば予知性が非常に高い治療です。
入れ歯でお悩みの方、インプラントは難しいと断られた方、是非一度ご相談下さい。
             院長 髙木謙一


2012.10.15 : インプラントは優れた治療法です

「インプラントは良い治療だと思うけど、ブリッジと比較すると実際どのくらい長持ちするの?」と疑問をお持ちの方を対象にご説明いたします。
 ブリッジは歯を失われた部分の両隣りの歯を削って連結された冠をセメントで装着する治療法ですが、その平均寿命は約8年とされております。土台となる歯が、歯のない部分の力も支える治療法ですから過度な負担がかかりやすくなるのは当然です。ブリッジ装着後10年で約50%に何らかのトラブルが生じるとされております。
 一方、インプラントの場合多くの研究データから10年以上は問題なく機能するとされております。実際40年以上経過しているインプラントも数多くあります。インプラント治療後10年で90~95%が生存しているというデータが今日では一般的です。
 
約7年前に治療を受けた左下の奥歯のブリッジが外れてしまったうえ、一番奥の土台の歯が痛くて食事がとれないと来院された方のケースです。
ブリッジが何年もの間負担に耐えてきたものの、いよいよ限界に達し、内部に微小漏洩を生じ、土台の歯のムシ歯が徐々に進行していき、ついには神経に感染してしまったため激痛となったのです。さらに過度な負担と不適合なブリッジにより土台の歯はグラつき始めていました。当初土台の歯は神経がある状態でブリッジが装着されたため数年は問題なく機能しましたが、今回のように神経がなくなると状況は変わってきます。歯は神経がなくなるともろくなり破折等を生じやすくなります(大抵奥歯が抜歯に至るときは神経がないために破折してしまったケースが多いのです)。このような歯に対して再度ブリッジの土台とするには大変リスクがあります。言い換えれば、土台となっていた歯を独立させて負担を取り除き、寿命を延ばすためには失われた部分の治療法の第一選択はインプラントとなります。
  
実際にこのケースにおいても失われた部分にインプラントを植立することにより、土台となっていた歯の負担は取り除かれ、さらに根の治療を行った後、歯のグラつきや痛みはピタリと消失しました。当初ブリッジではなくインプラントを行っていたら、土台となっていた歯は神経がなくなる以前にまったく削られる必要もなかったのではないでしょうか。
 このようなケースから歯を失った場合、
   「歯をできるかぎり削らない」
   「歯の神経を抜かない」
   「土台に負担をかけない」
ことがいかに歯の寿命にとって大切かということがいえます。
 日常こういったケースは少なくないのです。一本歯を失った場合の治療法の選択は慎重に検討していただきたいと思います。
 諸外国と比較し、最近日本ではやたらとインプラントがネガティブに捉えられているようです。マスコミの影響でしょうね。それではインプラント以外の治療法が優れているか?というとそうとも言えません。
 現在日本では歯科医師免許を有していれば経験・技術を問わず誰でもインプラント治療が行えますから、日常多くの医療機関で行われているのが現状です。当然事故も出てくるはずです。インプラントにおける医療トラブルのほとんどが術後出血、神経損傷、上顎洞への穿孔などの手術トラブルによるものです。安全な外科手術を行うためには多くの経験、知識が必要なことはいうまでもありません。
 「インプラント治療は良質で優れた治療法」であることを再度国民の方に認識していただくため、専門家がきちっとした結果を示していく他ありません。インプラント治療をお考えの方は安心して受けられる医療機関を慎重に選択なさって下さい。
                             院長 髙木謙一


2012.10.09 : フェルール効果について

 こんにちは。院長の髙木です。大分冷え込んできましたね。10/7・8で開催された自由が丘最大のイベントである「自由が丘女神まつり」もあっという間に終わってしまいました。今年は例年以上に多くの人達で賑わっていました。いよいよ秋になったな、と実感しています。

 さて、歯科に関するお話をします。機能と審美性の回復のためクラウン(冠)を装着する支台となる歯に対して、ムシ歯などで失われた歯質の欠損を人工の材料を用いて補う術式を支台築造といいます。
 とくに根管治療が施された(神経が無くなった)歯においては支台築造によって回復された場合、クラウンの土台となるため非常に重要な意味をもちます。
 支台築造に起因するトラブルの代表的なものとして、クラウンと支台築造体ごとの脱落、二次カリエス、歯根の破折があります。
 実際の臨床において使用される頻度の高い支台築造法は、鋳造されたメタルによるもの、レジンによるものですが、それぞれに長所、短所があります。これら使用材質も非常に大きな意味をもちますが、それ以外に残存した歯質の量が多い方が支台歯の生存率が高いことが報告されています。
 そこで「フェルール効果Ferrule effect」が重要となります。Ferrule(フェルール)とは根の治療を施された歯で、クラウンのフィニッシュライン~歯冠側寄りの健全な残存歯質を抱え込む部分をいいます。このフェルール部分をクラウンで把持することによって発揮される効果をフェルール効果といいます。十分なフェルール効果が得られれば、歯が破折する抵抗性が得られることになりますので非常に重要な意味があるのです(2mmは必要といわれています)。このことよりムシ歯を放置する期間を短くし、極力早めの治療を受けられることが望ましいともいえましょう。
①支台築造前の残存した歯質②支台築造後③クラウン装着時

 さて、歯が健康であることと、お食事を美味しくいただくことには大きな関わりがありますが、今回は自由が丘グルメのご紹介です。
 自由が丘でスペイン料理といえば「エル・ペスカドール」さん。いつ行っても満席の人気店です。

写真のように種類豊富なタパスが色々選べます。スペイン産ワインも豊富な品揃えです。
スモーク美味しいですよ!
人気タパスの一つの揚げナス。ハチミツをかけていただきます。
タコを使った料理も色々あります。
そしてこちらのお店のオススメはなんといっても「パエリア」です!


スタンダードな魚介類のパエジャです。
こちらのパエジャはちょっと格別だと思います。
皆様是非予約して行ってみて下さいね!
                         


2012.09.24 : ICOI(国際インプラント学会)オーランドワールドコングレス参加

 去る9月20~22日にアメリカフロリダ州オーランドで開催されましたICOI(国際口腔インプラント専門医学会)ワールドコングレスに役員会議・学会参加目的のために行って参りました。ICOIは1972年に設立され本部は米国ニュージャージー州に置かれており、現在65カ国、250万人以上の会員数を有している世界最大規模のインプラント学会でありますが、今回は学会生誕40周年を記念した総会でありましたので、大変盛大に行われました。
 オーランドはフロリダ州最大の内陸都市で、全米屈指の観光・保養都市であり、「ウォルト・ディズニー・ワールド・リゾート」、「ユニバーサル・オーランド・リゾート」、「シーワールド」などの幾つものテーマパークを有しています。またゴルフ場は100か所以上あり、世界中から観光客が訪れます。1年中温暖ですが、今のシーズンは1日1回はスコールがありました。
 しかし今回の移動は大変でした。羽田からデトロイトまでが約11時間。デトロイトからトランジットして約3時間でオーランドに入りました。とっても遠かったです!
昨日23日の23時に帰国しました。

学会はMariott World Center Hotelで行われました。

各メーカーの展示ブースの模様。大変混み合ってました。

今回も著明な先生方の講演をびっしり聴衆してきました。

認定資格授与式の模様です。今回はいつになく世界中から大勢のドクターが参加していました。会場は本当に大混雑でした。ベトナムでのコングレスに続き、今回も母校明海大歯学部オーラルリハビリテーション講座の鈴木玲爾先生にお会いできました。ディプロマの授与式のためにいらしたそうですが、その後ニューヨークに何日か寄って帰られるとおっしゃってましたね。来年のコングレスでもお会いできそうです。
 私は本学会のアジア・太平洋地区日本支部の役員を務めておりますが、今年はベトナム・ホーチミンシティで開催されたアジア・太平洋地区のコングレス、日本学術大会、そして今回のオーランドでのワールドコングレスと全て参加し、今年はこれで終了のため少しホッとしています。因みに来年はアジア・太平洋地区のコングレスが台湾の台北で、そしてワールドコングレスがトルコのイスタンブールで開催されることになっております。勿論日本学術大会もあります。
 今回は観光旅行が目的ではありませんが、折角の機会ですから何とか時間を調整して「ウォルト・ディズニー・ワールド・リゾート」に行ってきました。ハロウィンシーズンということもあり世界中から大勢の観光客で賑わってました。

「Magic Kingdom」アトラクションは日本と違ってどれも10分程度で入れます。

「Hollywood Studios」自然の動物が沢山いました。

「Animal Kingdom」熱帯雨林をイメージしたディズニーらしからぬ面白い場所。日本にはないのでお勧めですよ。って、私別にディズニー好きでも何でもないのですが。

こちらは「ダウンタウン・ディズニー」という離れた場所にあるスポット。船の形をした人気のレストランで食べたクラブやロブスターは美味しかったですね。ハロウィンのため夜も多くの人々で賑わっていました。

少し立ち寄ってみた「オーランドプレミアムアウトレット」とっても規模が大きくて、店内はやはり多くの観光客で埋め尽くされていました。

 数日間休診とさせていただき患者様には大変ご迷惑をおかけしましたことを心からお詫び申し上げます。学会・研修会等で得た知識・技術を患者様にしっかりと還元できるよう今後とも努力して参ります。また、10月より新しいドクター、スタッフの勤務がスタートします。良質な医療を提供するためスタッフ一丸となって努力して参りますので何卒宜しくお願い申し上げます。
                     院長 髙木謙一


2012.09.10 : 9月の休診日のお知らせです

9/20~22の3日間フロリダ州オーランドで開催の国際口腔インプラント専門医学会
ICOI World Congress XXIXに役員として出席のため、誠に勝手ながら
9/17~23まで休診日とさせていただきます。
患者様には大変ご迷惑をお掛けいたしますが何卒ご理解賜わりますよう
宜しくお願い申し上げます。
9/17(月) 敬老の日 休診日
9/18(火) 学会の為 休診日
9/19(水) 学会の為 休診日
9/20(木) 学会の為 休診日
9/21(金) 休診日
9/22(土) 秋分の日 休診日
9/23(日) 休診日
9/24(月)より通常通りの診療になります。
院長 髙木謙一


2012.09.03 : インプラント治療における抜歯後早期埋入

前回はインプラントを埋入する時期として抜歯と同時にインプラントを埋入する抜歯後即時埋入(immediate placement)について書きましたが、今回は抜歯後4~8週間後の難組織(歯ぐき)治癒後にインプラントを埋入する抜歯後早期埋入(early placement)についてご説明します。厳密には抜歯後12~16週間後、硬組織(骨)も治癒してから埋入する場合は抜歯後待時埋入(delayed placement)に区別されます。即時埋入は、治療期間や手術回数が減らせるという面ではよい方法ですが、軟組織の一次閉鎖が困難なことによりインプラント体や移植材の感染のリスクが増す上、硬・軟組織の吸収程度の予測も困難になります。通常抜歯窩は1週間で肉芽組織により覆われ、6週間で再上皮が完成します。ですので難組織が治癒している時期に行う早期埋入は、インプラント体や移植材の軟組織閉鎖が可能となり、また肉芽組織による多くの血液供給により予知性が高くなります。難・硬組織を増生する場合は、難組織から増生するのが基本ですので、難組織が治癒していることは埋入する位置の指標が明確となります。埋入やカウントゥアの形成もしやすくなります。
 
交通事故で上あご前歯の歯根破折を認め保存不可能なため抜歯と診断されました。
インプラント治療を希望されたため、審美面を考慮し早期埋入を予定しました。

抜歯後4週間後の口腔内所見です。歯肉は閉鎖されています。

抜歯後4週間後のCTクロスセクション像です。骨は治癒はしておりませんが、難組織が治癒していることは非常に有利になります。

そして4週間後の時点でインプラントを埋入します。

手術終了時所見です。歯肉をしっかりと縫合できることにより感染のリスクが低下します。また骨接合が早いオッセオスピードインプラントを使用することで早期の上部構造物の装着が可能となり、歯肉退縮の問題が解消されることにより審美的なインプラント治療が可能となります。
手術回数の減少のため、即時埋入が有効な場合もありますが、早期埋入は審美サイトにおいては最も有効な方法であると考えています。
             院長 髙木謙一


2012.08.27 : インプラント治療における抜歯後即時埋入

 歯を喪失した部分にインプラントを埋入する時期として
①抜歯と同時に外科手術を併用し、インプラントを埋入する
②抜歯4~8週間後の軟組織治癒後にインプラント埋入する(通常GBRを伴う埋入を行う)
③抜歯12~16週間後、抜歯窩が十分に治癒した所見を認めた後にインプラント埋入を行う(ソケットプリザベーションを行った場合は通常この分類に入る)
④6ヶ月以上経過した部位、もしくはGBR後にインプラント埋入を行う
の4つに分類されます(Willsonらの分類)。
 抜歯と同時にインプラントを埋入するのが抜歯後即時埋入(Immediate Implants)です。その利点として
①治療期間の短縮
②最小限の手術侵襲と回数
③抜歯窩を埋入の参考にできる(一致するわけではありません)
④歯間乳頭の保存
等が挙げられます。過去には抜歯後即時にインプラントを埋入することにより顎骨形態の保全ができると期待されましたが、現在では即時埋入を行っても結局骨は吸収することがわかっています。欠点としては
①感染のリスクが増す
②初期固定が不十分になる可能性が高い
③抜歯窩に誘導されやすいため、理想的な位置への埋入が困難
④審美サイトでは組織の吸収量が予測できない
等が挙げられます。それでは少し待ってから埋入する待時埋入の利点としては
①様々な組織を造成できる機会がある
②GBR等の埋入前準備が可能
③組織造成量のコントロールが容易である
こと等が挙げられ、欠点としては
①治療期間が長くなる
②手術回数が増える
③手術侵襲が大きくなる傾向にある
こと等が挙げられます。
 両者の成功率は未だ結論は出ておらず、研究者によってバラツキがあるのが現状です。自身の考えでは抜歯後即時埋入において万一理想的な位置に埋入できず唇側に位置してしまった場合は、術後に大きな歯肉退縮を起こす可能性が高く、もともとの歯の位置が大きく影響するため、審美サイトではリスクが高い方法であると考えております。そのため慎重な症例選択と熟練が必要となります。

抜歯前

抜歯時

抜歯後即時埋入
 症例によってはとても有用な術式です。次回は審美サイトで私が日常よく行う早期埋入についてご説明します。
             院長 髙木謙一


2012.08.20 : インプラント~取り外しの入れ歯を回避する~

 数本の歯を失い、取り外しの入れ歯を装着することになった場合の患者さんの苦痛は計り知れないものがあります。とくに上あごでは口蓋部分も入れ歯でふさがれてしまうため、違和感が大きく、発音にも支障をきたすことがあります。入れ歯のバネが変形したり、歯ぐきに当たって痛みが生じたり、バネのかかる歯に負担がかかったり等、過去にはそれでも妥協せざるを得ませんでした。インプラント治療の進歩によりこれらの問題は解決されました。咀嚼能率(噛む力)も入れ歯では天然の歯の10~20%程度ですが、インプラントは天然の歯と同じように固いものも食べられます。他の歯を傷つけることもなく、取り外しの必要もありません。バネもなく見た目の美しさも回復できます。

上あご前歯の多くの歯を失われた方です。取り外しの入れ歯だけははどうしても入れたくないという強いご要望に対しインプラント治療を行いました。

2回法で行い、2次手術後に歯ぐきが治るのを待ちます。

型取りをしてプロビジョナルレストレーション(仮歯)を作製します。

プロビジョナルを装着し、最終的にできる被せ物の形態やかみ合わせ、プラーク(汚れ)のつき具合等を慎重にチェックします。

その後最終的な型取りをして、上部構造物を装着します。


治療前               治療後

最近マスコミの影響でインプラントは何かと否定的に囚われがちなようですが、正確な診断と技術があればインプラントはとても質の高い素晴らしい治療です。不幸にも歯を失われ、取り外しの入れ歯にお悩みの方は是非一度当院にご相談下さい。
                    院長 髙木謙一



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